立田です。
今日の葡萄は「カンノナウ」
イタリアで、シチリアの次に面積の大きな島・サルデーニャ州で主に栽培される赤ワイン用品種。
フランスでは「グルナッシュ」、スペインでは「ガルナッチャ」と呼ばれています。ベリーやカシスを思わせる香り、果実味が豊かでタンニンの程よい赤ワインを作ります。
高円寺に新しくできたワインバー、「vivo daily stand」のメニューの一つに 「サバのタルト」がありました。このメニュー名を見た時に、衝撃を受けました。
「サバ」という単語と「タルト」という単語は、本来組み合わさることはありません。例えば、「イチゴのタルト」がメニューにあれば、その姿や味わい、香りを容易に思い描くことができますが、「サバのタルト」は想像ができませんでした。生臭いのか、塩焼きのようなのか、ワインとのペアリングはどうか……立田のインスピレーションをこれだけ掻き立てた商品は初めてでした。
これは、演劇にもつながることで、例えば、立田が尊敬してやまない劇作家・ピンク地底人3号さんの代表作「鎖骨に天使が眠っている」。「鎖骨」と「天使」を組み合わせたこのタイトルは、イメージを大きく膨らませます。
最近読んだものだと、永井愛さんの戯曲「ら抜きの殺意」。ら抜き言葉はよく聞きますが、それと「殺意」を組み合わせることによって、期待を高めます。最近読んだ作品の中では、これが一番面白かったです。
恒例ですが、せっかくなので、立田が最近書いた戯曲からも、組み合わさることのない言葉が繋がってできたセリフを抜粋します。
戯曲「ぺんだんとは みつからない」
女
そんな軍隊を相手に戦う術なんてないわね。
カエル
だから歌うのです。
女
歌われるの間違いじゃない? レクイエムは勝者からの最後の手向け。それを自分で歌う敗者はいないわ。
カエル
そんなものは挽肉と豆を煮詰めてトルティーヤで包んでしまえばいい。口から出れば鎮魂歌でも、呑み込んじゃえばチリコンカンです。
女
鎮魂歌もチリコンカンも血がつきものでしょ? 本流から外れた血の量が鎮魂歌を盛り上げていくように、血みどろのトマトがチリコンカ
ンの味を引き立てていくの。
カエル
そんなに血を欲するならチンギスハンにでもなればいい。チンギスハンは鎮魂歌を歌いながらチリコンカンを作った偉大な血塗れシェフです。大量の血をぐつぐつ煮込んでモンゴル帝国を作り上げたのですから。数多の具材を血で浸して一人でチリコンカンにしてしまった彼を見習えばいいじゃないですか。
次はなんの葡萄でしょうか?
立田でした。
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